本研究は、看護の基盤作りである専門分野I(基礎看護学領域)において、効率的に学習を積み上げることができる統合的な科目群の構築と、質の確保ができるようにマネージメントシステムを組み込んだ教育プログラムを構築することを最終的な目的としている。 平成22年度は、統合的な科目群としての教育プログラムの作成にあたった。特にニード論を基盤にして生活者の視点で看護問題を抽出できるためのフォーカスアセスメントの枠組みを作成した。アセスメント結果を、生活への影響に引き寄せた点が独走的である。雑誌「クリニカルスタディ」の別冊特集号として発行するとともに、第3回日中韓看護学会にて発表した。 主体的な学習活動を導くための教材開発に向けて、アジア圏内で先進的な医療水準を誇るシンガポール国立大学の看護技術学習センター等の視察に行った。震災の影響を受け3月の渡航予定を8月に延期したことに伴って教材開発が遅延した。しかし、技術教育にはシミュレーションが有益であり、主体的な学習を促進するためにはインターネット教材が望ましいとの示唆が得られ、教材開発に反映させた。 次に、教育担当者の募集し、教員、臨床看護師、大学院生からなる教育チームの形成を試み、担当者間の調整を行った。 また、一連の教育の質を確保するためのマネージメントシステム(HACCP)の導入に向けて、連続的監視・記録に適する重要な点(Critical Control Point;CCP)を抽出し、標準的な手順すなわち教育パスを作成した。 以上の取り組みを経て、「看護過程論」、「対象理解に関する科目」について、マネージメントシステムを導入した統合的科目群である教育プログラムの一部試作案ができた。
|