研究概要 |
【目的】本年度は、温度の違いによる自律神経活動や身体の各部位の温度変化等を測定し、リラクセーション効果が期待できる後頸部への湿性温罨法の方法論を明らかにすることを目的とした。 【方法】成人女性を対象に室温や湿度を調整した環境において後頚部への湿性温罨法を24回実施した。温罨法で使用するタオルの大きさ(12×21cm)、タオルの重さ(湯を含む140g)を統一して実施した。温度は、40~45℃のもの(温罨法(1))と、45~50℃のもの(温罨法(2))を10分間実施した。測定間隔は、安静時・実施中5分・実施中10分・除去後5分・除去後10分・除去後15分・除去後20分の計7回の連続測定を行った。測定項目は、自律神経活動として心拍変動(R-R間隔変動)のHF成分と、LF/HF成分(Mem Calc/Tarawa GMS)、深部体温・四肢末梢温度・後頚部温・肩表面温度(コアテンプCM210 TERUMO)、脈拍(Mem Calc/Tarawa GMS)については連続測定を行い、血圧(デジタル自動血圧計HEM-907 OMRON)、肩部の筋硬度(NEUTONE)については温罨法の前後で測定を行った。分析については、SPSS Statistics 19 (IBM)を用いて統計処理を行った。倫理的配慮については、関西医療大学の倫理委員会の承認を受け、被験者に研究の趣旨を説明し、同意を得たのちに実施した。 【結果】自律神経活動として、心拍変動のHF成分は温罨法(1)・温罨法(2)ともに実施直後から上昇するも有意差は認められず、LF/HF比においても明らかな減少は見られなかった。深部体温は先行研究と同様に変動をきたさず、末梢温度は(1)、(2)ともに上昇するも有意差はなかった。後頚部温については、安静時と比較し、実施5分・10分、除去後5分値において有意差が認められた(F(6,36)=51.103)。本年度の結果から、温罨法(1)が効果的であると考えられるが、環境(光や音)による影響が示唆されたため、さらに厳密な環境のコントロール下で検証を行い.次年度の計画へと進めていく。
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