本研究は、在宅や施設などの臨床現場ではあまり実施されていない患者の嚥下機能レベルを客観的に判断できる容易な測定方法を見出し、さらに嚥下機能レベルと食べられる食物の種類や形態との関係を検討し、食事の援助方法を開発することを目的としている。 その第一段階として平成22年度は、嚥下機能の測定方法の確立とその方法を用いた嚥下機能障害のレベルを判定するための基準値の検討を行った。その結果、看護師が在宅や施設でできる測定内容として、舌を突出した時の舌の長さ、「ア」と「イ」の発声時の左右口角間の幅、判定ガムを用いた咀嚼能力試験、口腔機能測定器「健口くん」(竹井機器工業株式会社)を用いた「パ」「タ」「カ」の音節交互反復運動試験と反復唾液嚥下テスト、口腔筋力測定器(竹井機器工業株式会社)を用いた舌の突出時と挙上時の舌筋力測定と口を閉じる時の口輪筋力測定の7項目を整理した。また、現在嚥下機能に障害がない20~80歳の健常者49名を対象に嚥下機能を前述の7項目で測定し、測定方法と安全性が確認できた。測定結果では「パ」「タ」「カ」の音節交互反復運動試験の「カ」の発声では60歳以上から5秒間の発声回数が減る傾向が見られた。今後、他の測定項目においても分析を進め、嚥下機能障害のレベルを判定するための基準値を決定する。
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