研究課題/領域番号 |
22592438
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
黒田 久美子 千葉大学, 大学院・看護学研究科, 准教授 (20241979)
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研究分担者 |
小田 和美 長野県看護大学, 看護学部, 准教授 (90264902)
近藤 真紀子 岡山大学, 大学院・保健学研究科, 准教授 (70243516)
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キーワード | 慢性病看護学 / 糖尿病看護 / 継続支援 / 地域育児支援事業 / 糖尿病発症予防 |
研究概要 |
本研究は、2型糖尿病のハイリスクグループである妊娠糖尿病を指摘された女性(以降、GDM既往女性と略す)の産後看護継続支援に焦点がある。GDM既往女性の2型糖尿病発症予防と家族全員の健康生活への支援として、地域における子育て支援事業(乳児家庭全戸訪問事業、新生児訪問、健診事業等)を活用する。参加地域と研究グループによるアクションリサーチで継続支援システムを構築し、その試行評価を実施する。 平成23年度は、協力市町村の希望により、試行前に乳幼児健診を受診した全母親を対象に妊娠糖尿病の実態調査を実施した。平成24年6月に終了予定で4市町村と実施している。1月回収分までの回答数は844件である。質問紙の回収の際に、対象者の調査への反応を共有し、また1月の段階で集計結果を共有した。その結果、以下の問題が共有され、妊娠糖尿病の指摘後だけでなく、全員の方を対象に妊娠前・中の検査への関心を高め、母子健康手帳への記載や活用を増やすことが必要であることが確認された。 ・妊娠糖尿病を指摘された人は、全対象者の4%以下。(一般的には4~8%、診断基準後は2~3倍になると言われている) ・検査値が妊娠糖尿病の診断基準を超えているが、妊娠糖尿病が指摘されていない人が存在する。 ・全員が母子健康手帳への検査の記載が少ない。 ・妊娠中の検査の全内容やその結果に関心が低く、保健師・助産師の予想をはるかに超えていた。 ・以前は検査への質問があったことから、検査費用の補助開始後に関心がさらに低くなっている可能性がある。 ・現在の状態では、本人からの申告がなければ、保健師が妊娠糖尿病の有無を把握することが難しい。 以上の結果を踏まえて、平成22年度に作成した連携パスとリーフレットを用いた継続支援を、関東近県の一地域の2市町村、3病院と協働して実施予定である。現在、そのための病院における倫理審査の手続き中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は研究協力地域の妊娠女性全員を対象とした実態調査を予定していなかったため、計画よりも試行支援開始は遅れている。しかし、実態調査を共同で実施したことにより、現在の課題がより明確に共有でき、継続支援のポイントと継続支援が効果的となるための妊娠中の支援のあり方まで検討できたため、おおむね順調に進展していると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
継続支援の試行が本格的に開始されるため、今後は研究協力者同士(病院の認定看護師・助産師、地域の保健師)、すなわち継続支援を協働で実施する看護職者の情報交換の場を設け、直接連絡がとれるような体制をつくり、タイムラグのない情報交換をし、その集約を研究者が実施する。
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