本年度は、以下の2つの研究に取り組んだ。 1.前立腺がん患者が認識する看護師による支援に関する調査:前立腺全摘除術を受けた前立腺がん患者で研究参加に同意した11名を対象に、半構造化面接によりデータ収集し質的帰納的に分析した。前立腺がん患者の看護師による支援に関する認識は、【性に関する相談をしていいことを知らない】、【看護師の手をわずらわせてはいけないので相談しない】、【性に関する問題は自分で解決すべき問題だから相談しない】など9つに集約された。 2.前立腺全摘除術を受けた前立腺がん患者とパートナーの夫婦関係満足・性機能・サポートニーズに関する実態調査:前立腺がん患者とパートナー100名を対象にアンケート調査を行った。パートナーは、Quaity Marriage Index、Female Sexual Function Index日本語版、支援ニーズ調査票を用いた。23名からの回答のQMIスコアの平均20.2±3.3、FSFIスコアの平均3.6±5.7、個別相談・サポートグループへの参加は5%のパートナーが希望した。前立腺がん患者は、Quaity Marriage Index、Expanded Prostate Cancer Index Composite、支援ニーズ調査表を用いた。46名から回答のQMIスコアの平均は19.6±3.4、EPCI排尿総合スコアの平均85.7±10.7、排便総合スコアの平均93.3±4.7、性総合スコアの平均24.9±9.1、個別相談・サポートグループへの参加は15%の患者が希望した。 以上の調査より、前立腺がん患者とパートナーの夫婦関係は、治療後も良好であり、支援ニーズも低いことが明らかとなった。今後、は性は秘め事と捉える日本の文化的背景などを踏まえ、患者が性に関する問題を抱え込んでいないか定期的に確認するなど、看護師の積極的な働きかけが重要である。
|