本研究の全体構想は、外来化学療法を受けるがん患者の心身の緊張を緩和するとともに緩和を促進する看護モデルを開発し、外来化学療法看護の標準的なケアとすることである。そのため、研究目的として、1.外来化学療法を受ける患者が体験している心身の緊張の実態を明らかにする。2.1で明らかにした内容に基づき看護実践内容を抽出し、外来化学療法を受けるがん患者の心身の緊張を緩和するとともに緩和を促進する看護モデルを構築することを挙げた。 平成22年度の研究は、追加内定を受けた平成22年10月22日より開始した。本年度の計画を「外来化学療法を受けるがん患者の心身の緊張状態と影響要因、心身緊張緩和のための対処を明らかにすることを目標に、心身の緊張状態を測定し統計学的および質的帰納的に分析すること」とし、1)文献検討、2)研究準備、3)データ収集を具体的な計画として挙げた。 その結果、1)文献検討では、「心身の緊張」に関する国内外の文献より、本研究での身体の反応のメカニズムについて再検討する必要性が明らかとなり、概念枠組みを再構築することとなった。これにより実態調査において測定される指標との関連が明確化された。2)研究準備については、データ収集を実施しするための物品や機器類をヒトへの安全性を検討し購入した。また、質的看護研究の発表会を通して質的研究専門家や研究者からの指導や研究協力の内諾を得るとともに、研究フィールドの調整を行った。尚、研究フィールドとして4施設を候補に挙げていたが、平成23年3月の東日本大震災の影響を鑑み、対象施設を2施設とした。このため、3)データ収集は、平成23年度より具体的に実施することとなった。
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