本研究の全体構想は、外来化学療法を受けるがん患者の心身の緊張を緩和するとともに緩和を促進する看護モデルを開発し、外来化学療法看護の標準的なケアとすることである。そのため、研究目的として、1.外来化学療法を受ける患者が体験している心身の緊張の状態と緩和のための対処を明らかにする。2.1の結果に基づき看護実践内容について抽出し、外来化学療法を受けるがん患者の心身の緊張を緩和するとともに緩和を促進する看護モデルを構築することを挙げた。 本年度は、対象者8名(男性1名、女性7名)から前年度に得られた質的データを修正版グラウンデッド・セオリー法の手法に沿って分析を行った。その結果、37の概念が生成され,この中の34概念は10【カテゴリー】,3概念は『カテゴリーと同等の説明力を持つ概念』に類型化された。さらに、≪身体感覚を自覚しながら心身緊張に気づいていく≫≪手応えを感じながら心身緊張のための方略を獲得し,緊張緩和に向かう≫という、2つの≪コアカテゴリー≫で対処過程が説明された. 次に、Meijelら(2004)およびLewis(2006)の看護介入デザインに沿って看護介入モデルと実践指針作成について検討した。分析した結果より、外来化学療法を受けるがん患者の対処過程におけるカテゴリーおよび概念とそれらの関係性を踏まえて影響要因を抽出した.さらに,その中で看護の介入可能な部分を問題あるいは介入の焦点として挙げた.具体的な介入方法については、トランスセオレティカル理論を参考とし、看護介入モデルを考案するとともに看護実践指針を作成した。 今後はこの看護実践指針に沿って介入研究を行い、記述的な評価を行い、看護実践指針の精練をはかる予定である。
|