研究課題/領域番号 |
22592447
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
三浦 浅子 福島県立医科大学, 看護学部, 講師 (90512517)
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研究分担者 |
畠山 とも子 福島県立医科大学, 看護学部, 准教授 (90457804)
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キーワード | 医療・福祉 / 看護学 / がん / 臨床 / 看護相談 |
研究概要 |
1.研究対象者の決定 福島県立医科大学附属病院の中堅看護師(卒後5年以上)17名だったので、福島市内のあづま脳神経外科病院にも働きかけ、5名の参加があったので、合計22名になった。 2.相談技術の開発訓練 平成22年度に調査した学習ニーズの結果(第26回日本がん看護学会発表)に基づき、知識の獲得として講義4回((1)テーマ:がん患者と家族の悩みと対応のポイント、スピリチュアルケア、家族ケア、(2)時間:18:00~20:00、(3)開催月:7月、8月、11月、1月)を行った。がん患者・家族の悩み相談を受ける技術訓練として、研究分担者らが開発したDVDBOOKを使用して、ロールプレイ((1)内容:基礎編、応用編、(2)時間:土曜日9:00~13:00、(3)開催,月:11月、1,月)を行った。 3.がんサロンなどの企画・実施 東日本大震災の支援物資(医療用かつら)の提供を契機に、がん患者・家族交流会を5月から開催し継続している。参加者は、2~14組であるが、がん患者・家族の悩み相談を受ける場、患者同士の交流の場、学習会(リハビリメイクセミナー)に発展している。効果的ながんサロンにするために、岩手医科大学附属病院(多職種のとの協働)、秋田赤十字病院(患者中心の企画)の施設見学を行った。福島県内の過疎地域での開催は震災の影響もあり延期した。かつらの相談については学会発表を行った。 4.評価 相談技術の開発訓練では、講義・ロールプレイ後の学びについて、3月にふりかえりをする機会を持ち、平成23年度の評価とした。講義での学びは、知識として蓄積され日常の看護実践に役立っていた。また、グループデスカッションでは、患者・家族とのコミュニケーションにおける相互作用を活用し実践していることが分かり、ロールプレイが効果的だった。総合的評価としては、相談を受ける基礎としてのコミュニケーションスキルの獲得ができたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
福島県立医科大学は、東日本大震災の災害救援、復興支援に従事したため、平成23年度の計画が3カ月遅れて開始された。しかしながら、がん患者・家族の悩み相談を受ける看護師に必要な知識と相談技術の獲得については、おおむね順調に進展している。がん患者の悩み相談を受ける場として、がん患者・家族の交流会として試行できているが、院内の多職種(医師、薬剤師、栄養士等)の協力要請までは至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、福島県立医科大学附属病院の研究対象者に、産後・育児休暇や退職に伴い数名の辞退者が予測される。科研申請時の目標では、「研究対象者が体得した相談技術を他の看護師に伝達・指導していくことで、がん看護の均てん化に貢献」を目指していたが、対象者の減少でこの目標達成は難しいと思われる。当初の計画では、2年目に相談技術の開発訓練、3年目に実施・評価を予定していたが、別のプログラムの追加を検討している。平成22年度の調査では、終末期のケア(スピリチュアルケア、家族ケア)が難しいと答えていたので、「看護師だからできるスピリチュアルケア」を講義として取り入れた。この講義が実践でどのように活用されたか、平成24年度の早期に研究対象者のフィードバックを計画している。これと同様に、講義1回を行い6カ月後のフォローアップを計画し、対象者を募りたいと思っている。本研究の主旨は、がん患者・家族の悩みや不安の解決に向けた相談や支援能力を開発することであるので、継続的なプログラムと単発のプログラムについて検討していきたい。
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