1.悩み相談技術の開発(継続プログラム):平成23年度にコミュニケーションスキル、悩み相談者と受け手との相互作用、感情への対処等を学んだ上で、平成24年度は悩み相談の実践過程を評価した。方法は、患者・家族の了解を得て悩み相談の場面をICレコーダーに録音後逐語録を作成し、相談過程の振り返りをした。また、患者の同意が得られない場合は、悩み相談が困難だった事例を振り返ることにした。 2.スピリチュアルケアの実践(単発プログラム):継続プログラムの協力者の減少(22名→12名;産休育児休暇、退職等)に危惧したので、平成23年度好評だった「看護師だからできるスピリチュアケア」のプログラムを追加した。8月に学習会を開き40名の参加者に対して、フォローアップ研修の参加希望者に研究計画を説明し同意が得られた20名を研究協力者とした。フォローアップ研修(4ヵ後)は、各自の看護実践を振り返り、スピリチュアルペインを表出する患者への対応を習得する機会とした。 3.悩み相談の場の設定:東日本大震災後に、抗がん剤治療を受ける患者への支援物資(医療用かつら等)の提供と脱毛患者への悩み相談の実践と月1回のがん患者・家族の交流会を継続した。また、福島県の患者会との交流を通し病院外で「がん患者・家族のがんサロン」を考える機会とした。 4.結果:継続プログラムは、録音できた者が8名、困難事例への対応が4名だった。コミュニケーションの傾向、傾聴・沈黙の意義、相談者との相互作用を振り返ることができた。単発プログラムでは、スピリチュアリティの捉え方、援助的コミュニケーションや感情への対処等が習得されていた。また、「震災支援物資提供団体からのがん患者さんへの橋渡しと脱毛後の相談活動の継続」が評価され、日本がん看護学会学術奨励賞を受けた(平成25年2月)。
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