化学療法患者にとって倦怠感は最も頻度が高い症状であり、とくに外来治療中の患者のQOL維持にはその適切なマネジメントが重要であるが、日本でその方法は知られていない。本研究では、前年度までに広範な文献レビューに基づき教育ツール(倦怠感セルフマネジメントを紹介するDVDおよび治療ダイアリー)を作成し、これを用いて日常生活にエネルギー温存療法を組み込むプログラムを開発した。今年度これを実施する段階に至り、介入指標である倦怠感尺度(HCFS;Hirai Cancer Fatigue Scale)に分析方法上の問題が指摘された。因子分析をバリマックス法からプロマックス法に変更して再分析を行った結果、2次元12項目から3次元15項目の尺度に修正された。(新たな尺度全体のα係数0.943、テスト-リテスト法信頼性係数r=0.820(p<0.01)、本尺度とPOMS-F(疲労)との相関係数r=0.759(p<0.01)、CFSとの相関係数r=0.763(p<0.01)と高い信頼性・妥当性を確認した。)これに伴い、既に作成していた治療ダイアリーの評価指標を変更する必要が生じ、治療ダイアリーを作成しなおした。本研究では介入群と対照群へのプログラム実施によりその効果を検討することまでを目的としているが、期間中に効果の検討まで到達することができなかった。今後の予定として完成された教育ツールを用い、次年度中には実施と効果の検討を行う予定である。
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