研究課題/領域番号 |
22592462
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研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
吉田 久美子 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (70320653)
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研究分担者 |
神田 清子 群馬大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (40134291)
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キーワード | がん看護 / セルフケア能力 / セルフケア |
研究概要 |
がん患者の治療法としてさらに増加傾向にある化学療法が外来へ移行してきており、患者が副作用の予防、体調管理や日常生活の調整などのセルフケアを行う必要性がある。そのため、看護師の役割として患者がセルフケアを効果的に継続できるよう、セルフケア能力を支援し強化していくことが重要性である。そこで本研究では「がん患者用セルフケア能力尺度」を開発し、具体的な援助モデルの検討を行うことを目的としている。 科学研究費による論文(課題番号19592536)「がん患者のセルフケアの概念分析」をふまえ、質的研究として「治療期にあるがん患者のセルフケア能力」を行った。研究結果から、治療期にあるがん患者のセルフケア能力は、看護師やその他の医療従事者の関与あるいは患者自身が病気と治療の体験から獲得した能力であり、自己管理に対する思考の仕方や認識の転換も含まれると定義された。平成23年度にKrippendorffの手法を用い分析し5つのセルフケア能力を導きだし、質的研究の論文を完成させた。論文は日本がん看護学会誌第26巻1号へ原著として掲載が決定している。 さらに上記の概念分析や質的研究の結果をもとに概念枠組みを理論的に組み立て「治療期にあるがん患者のセルフケア能力尺度」の原案を作成した。その後、質問項目について表面妥当性などについて検討した。尺度の最終原案として「自主的に判断し保健行動を形成する能力」「がんの存在にとらわれないよう思考を和らげ進む能力」「人とのつながりを保ち社会生活を調整する能力」「生き方を見つめ自己の発達を促す能力」の4因子のリッカート尺度を作成した。現在は、研究施設の倫理審査の承認を受け、調査を開始している段階である。平成24年度には複数箇所の施設で本調査と分析を行い、結果をまとめる計画である。成果は欧米の学術雑誌に投稿し発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在は「治療期にあるがん患者のセルフケア能力尺度」と「援助モデル」の開発段階である。尺度の基盤となる概念枠組みなどは、スーパーバイズを受け理論的に内容を充実させた。この理論的構築は海外のがん看護学会誌においても重要視されているため、尺度開発と援助モデルの構築において有効に活用できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策については、尺度開発を効率的に進め精度の高い尺度を作成すること、そして海外の学会誌へ速やかに投稿する計画である。また、援助モデルの作成は現段階から構想を組み立て着手する予定である。
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