慢性病をもつ人の「病気はあるけれど元気である」、「症状が強くなると病気である」と思うという話し言葉に表される「元気」と「病い」に着目し、元気感と病い感という2つの尺度を開発すること、開発した尺度と既存の健康尺度との関係を明らかにすることを目的として行った。元気感と病い感の尺度としての妥当性は、主成分分析および主成分分析の結果から尺度の一次元性が確認され、予測された概念間の関係性と実測による尺度間の相関関係が一致した。信頼性係数をみると、内的整合性ではα係数が元気感0.937、病い感0.927、安定性では相関係数が元気感0.847(p<.01)、病い感0.800(p<.01)であったことから、元気感と病い感ともに信頼性が支持されたと判断できる。とくに、元気感と病い感の内的整合性を示すα係数が0.92以上を示したとから、集団だけではなく個人においても評価できる尺度であると判断できた。既存の健康尺度であるSF-36とHQの関係性の検討から、元気感および病い感が健康概念に関連する概念をもち、健康を評価する指標であると判断できた。また、元気感とHQには0.844(p<.01) 、病い感とHQには-0.801(p<.01)、元気感と病い感には-0.766 (p<.01)と尺度間に強い相関関係があったが、HQ を制御変数とした元気感と病い感の偏相関関係は-0.280 (p<.01)であった。このような結果から、元気感と病い感は、HQと全く同じ概念ではないが非常に類似している概念であると判断できる。
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