研究概要 |
本研究の目的は,肺がん患者の看護アウトカムとしての"生活調整"の実態を把握し,肺がん患者が生活課題を自ら調整しながら新しい生き方を見つけていくための支援方法の基礎資料とすることである.そのために,研究者らが開発した「肺がん患者用生活調整尺度(Life Adjustment Scale for Patients with Lung Cancer : L-LAS)をさらに臨床的に有用なものとするため,PS(Performance Status)ステージ3~4の肺がん患者にも適用範囲を広めた改訂版(案)を作成し,尺度の利便性を高めるために短縮版を作成することを計画した.平成22年度は,1)先行研究の結果を用いて,短縮版尺度作成に向けた二次分析を行った.2)研究参加に同意の得られたPS(Performance Status)ステージ3~4の肺がん患者16名を対象に,L-LASを用いた面接調査を行った.結果,L-LASはPSステージ3~4の対象でも弁別力の低い項目はないことを確認した.3)がん看護専門看護師2名,認定看護師(緩和ケア,がん化学療法,がん性疼痛)各1名,日本肺がん学会所属理事(医師)1名による表面妥当性,内容妥当性の確認をした.現在,尺度の信頼性,妥当性を検証するための質問紙調査のための手続き中である.今年度は,PSステージ3~4の対象からのデータ収集に際して,施設側との調整や対象への実施に向けて予想以上の時間を費やしたが,この期間は尺度開発には必要なものと考えている.今後は当初の計画通り調査研究を行い,尺度開発を進めていく.
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