研究概要 |
本研究の目的は,肺がん患者の看護アウトカムとしての"生活調整"の実態を把握し,肺がん患者が生活課題を自ら調整しながら新しい生き方を見つけていくための支援方法の基礎資料とすることである.そのために,研究者らが開発した「肺がん患者用生活調整尺度 (Life Ad justment Scale for Patients with Lung Cancer: L-LAS)をさらに臨床的に有用なものとするため,PS(Performance Status)ステージ3~4の肺がん患者にも適用範囲を広めた改訂版(案)を作成し,尺度の利便性を高めるために短縮版を作成することを計画した.平成22年度は,L-LASがPSステージ3~4の対象でも弁別力の低い項目はないことを確認した.平成23年度は研究協力施設へ質問紙調査のための手続きを終え,研究協力患者に質問紙の配布を始めた.患者への倫理的配慮から対象者が少なく,現在、協力施設を増やす方向で検討中である.また,平成22年度に行ったPSステージ3~4の肺がん患者6名の生活調整に関する面接結果についてテキスト分析を行い,肺がん患者の生活調整の構造的特徴を明らかにした.結果,キーワード数は1398で,出現頻度および言語学的手法に基づき手作業にて結合、削除を繰り返してカテゴリ化をした結果,20カテゴリ「時期(189)」「他者(179)」「生活行為(177)」「症状(124)」「肺がん(91)」「療養場所(87)」「治療(82)」「調整する(69)」「死(58)」「体調(49)」「困難感(49)」「人と関わる(48)」「楽しみ(42)」「頑張る(36)」「受け入れる(35)」「生きる(34)」「気を遣う(15)」「信念(12)」「介護(12)」「感謝(10)」に分類できた.この結果は尺度の構成要素と類似していた.今後は当初の計画通り調査研究を行い,尺度開発および有用性の検討を進めていく.
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