研究概要 |
【目的】本研究の目的は、心臓外科手術後患者の退院時身体活動量特性を把握し、入院中のリハビリテーション進行や身体活動量が、退院時のADLや運動耐容能、QOL、心理的不安、自己効力感などとの関連性を検討することである。 【対象と方法】対象は2010年5月から2011年3月までに待機的に心臓外科手術を受けて病棟歩行自立に至った患者74例(平均年齢67.3[38-85]歳)。3軸加速度計にて手術前日および手術後から退院までの終日の身体活動量を連日測定した。併せて退院時に6分間歩行距離(6MD)や自己効力感(SEPA)、HADSなどを評価した。 【結果】心臓外科手術後平均8.1日で病棟歩行が自立した。平均入院期間は20.7日で、退院時の1日平均身体活動量は19.3METs・時、退院時の1日平均歩数は2478.9歩であった。退院時の身体活動量が少ない症例ほど、退院時の6MDが短く、SEPAスコアが低く、抑うつ・不安スコアが高かった。HADSで抑うつが疑診と判定された症例(n=14)の退院時の平均歩数は1833歩で抑うつなしの症例(n=60,2629歩)より有意に低値を示した。また、退院時の身体活動量は年齢との間に中等度の負の相関関係が認められた。さらに、手術前よりも退院時に身体活動量が増えている症例は退院時の不安は少なかった。心臓外科手術後のリハビリプログラムは運動強度を増加させるプログラムに加えて、年齢や心情を加味した身体活動量にも配慮したプログラムが必要である。退院時に良好な運動耐容能や自己効力感を得るための入院期間中の身体活動量の目標値については症例を追加して検討を進める予定である。
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