有病率が増加の一途をたどる喘息では、患者が行うセルフマネジメントは多岐にわたるため、それらを支援する効果的な患者教育は、喘息ケアの最終目標であるQOL向上に大きく寄与するものと考えられる。患者教育を行う医療職者の中でも看護者の担う役割は大きいが、看護分野における研究は極めて少なく、系統立てた喘息患者のセルフマネジメント支援方法の確立は急務であるといえる。 本研究は、(1)喘息患者のセルフマネジメント、症状コントロールおよびQOLの関連を検討し、患者のセルフマネジメント行動が症状コントロールのみならず患者のQOLを決定する因子になることを明らかにする。(2)その上で、患者のセルフマネジメント行動に影響を及ぼす因子(患者特性、看護者特性)を明らかにし、効果的なセルフマネジメント支援方法を探索することを目的とする。研究の実施は喘息ケア(看護、医学)、または患者教育に精通した研究者により構成されて行われるものであり、先述した研究目的を遂行するために、(1)「喘息患者のセルフマネジメントとQOLに関する調査研究」(1)「喘息患者のセルフマネジメントと看護者特性に関する調査研究」(3)(1)および(2)の結果を基に効果的なセルフマネジメント支援を探索する、という段階を経て実施する。 2010年度は(1)「喘息患者のセルフマネジメントとQOLに関するする調査研究」を行った。研究デザインは自記式質問票を用いた量的調査研究であり、研究協力者および喘息教育に精通した医師、看護師とともに、患者のセルフマネジメント、症状コントロール、QOLおよび患者特性を測定可能な質問票を作成した。調査実施施設の倫理審査を受け、承認後、予備調査、本調査の順で調査を行った。大阪府下の成人喘息患者400名を対象に実施した。
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