研究最終年度である本年度は、成人気管支喘息患者を対象に実施した調査結果から、喘息患者のセルフマネジメントに影響を及ぼしている要因を明らかにした上で、効果的なセルフマネジメント支援のあり方について言及した。 1.喘息患者のセルフマネジメントに影響を及ぼしている要因 性差での比較では、女性の方が症状コントロールに必要であるセルフマネジメント行動を積極的に実施していた。また喘息を重症化させる要因といわれている過剰適応的性格特性の患者は、自己管理行動に消極的であり、特にストレスに対する対処を行っていないことが明らかになった。セルフマネジメント行動が消極的になっている背景には、喘息は治療やセルフマネジメント行動によって今以上には改善はしないとの患者の思いが影響していた。また、重症喘息患者群は、積極的にセルフマネジメント行動を実施していたが、喘息によって活動を制限されていると自覚しており、QOLは低下している実態が明らかになった。 2.効果的なセルフマネジメント支援のあり方 今回の調査結果により、セルフマネジメント支援を行う際は、その行動が症状コントロールに有効な意味のある行動であることを患者自身が実感できるよう支援すること、セルフマネジメント行動を実施することが患者を心身ともに拘束させる要因になっていないかを考慮しながら支援することが重要であるといえた。特に重症喘息患者、性格的に過剰適応的である患者に対しては、セルフマネジメント行動を評価する際には、実施の有無で評価するのではなく、その患者に適したセルフマネジメント行動であるか質的に評価し、支援していくことが重要であるといえる。 今後は、喘息患者のセルフマネジメント向上にむけた具体的な支援プログラムの構築、および喘息を含めたアレルギー疾患患者への適切な患者教育を担うことができる専任のメディカルスタッフの養成に向けて研究を展開していく。
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