集中治療室(IntensiveCareUnit:ICU)入室患者や高齢入院患者に多発する"せん妄"は、患者の予後の悪化に関係している。(1)ICUの外部環境とせん妄発症との関係を検証し、(1)消灯後低下し明確な日内変動があった一般病棟に比し、ICUの騒音と照度レベルには昼夜の差がなく、特に夜間に顕著な高値を示すことを明らかにした。次に(2)ICU患者の興奮やせん妄発症度は、ICU夜間の耳栓使用により有意に減少することを明らかにした。更に(3)心拍数と自律神経系活性における覚醒時・睡眠時の正常な日内変動が、ICU環境下、消失するか逆転する例で興奮やせん妄発症の傾向にあること、そして、このせん妄群の自律神経系活性の変調は、ICU退室5日目も回復しない傾向にあることを明らかにした。これらの結果は、ICUの異常な持続的騒音がせん妄発症に関与しており、せん妄発症の防止対策としてICU夜間の耳栓使用が有効であることを示唆している。(2)認知症高齢者の夜間興奮状態に対する青色照明の効果を、上記の生体機能活性と日内リズム、および観察による興奮・鎮静状態の評価とせん妄の有無等により検証した。
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