本研究の目的は、1型糖尿病および2型糖尿病の乳幼児から思春期の子どもと家族を対象とし、子どもの成長発達毎の支援を考えるだけでなく、子どもが成長発達しながらどのように体験を積み重ねていくのかを明らかにし、この体験の積み重ねを視野に入れた成長発達に沿った支援を明らかにすることである。 平成22年度は、(1)ライフヒストリーの手法を用いた「糖尿病をもちながら成長する子どもの体験」を成長発達に沿って分析し、糖尿病をもつ子どもが、疾患の理解や療養行動についてどのように学びながら成長していくのか、および、その影響要因(発症年齢、家族や周囲からのサポート、糖尿病キャンプ参加の有無など)を明確にすること、(2)本研究科で蓄積している、糖尿病をもつ子どもと家族に関する15編の学位論文から得られた結果について、対象者の成長発達段階における糖尿病をもつ子どもと家族の体験と、影響要因、対象者の成長発達に沿った看護の視点で二次分析を行った。 その結果、幼児期に1型糖尿病を発症した子どもと、小学校前期に発症した子どもでは、小学校前期に発症した子どもの方が親のショックを感じ取り、また、周囲の友達とうまくいかない・気づかいをする体験をしているなど、発症年齢による体験の違いが明らかになった。また、学位論文の二次分析から、成長発達に沿った看護の主要な概念として発達理論やセルフケア理論をはじめとする複数の概念の組み合わせていくこと、既存の概念と学位論文から得られた結果のすり合わせを行い、独自の部分と不足の部分を丁寧に分析していくことの必要性が確認された。
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