研究課題/領域番号 |
22592477
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
中村 伸枝 千葉大学, 大学院・看護学研究科, 教授 (20282460)
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研究分担者 |
佐藤 奈保 千葉大学, 大学院・看護学研究科, 講師 (10291577)
内海 加奈子 千葉大学, 大学院・看護学研究科, 助教 (20583850)
仲井 あや 千葉大学, 大学院・看護学研究科, 助教 (30612197)
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キーワード | 看護学 / 小児糖尿病 / 成長発達 / 家族 |
研究概要 |
本研究の目的は、糖尿病をもつ乳幼児から思春期の子どもと家族を対象とし、子どもが成長発達しながらどのように体験を積み重ねていくのかを明らかにし、この体験の積み重ねを視野に入れた成長発達に沿った支援を明らかにすることである。 前年度の研究結果から、幼児期・小学校低学年と思春期の子どもではセルフケアやセルフケアに影響する要因が大きく異なることが明らかになったため、平成23年度は、幼児期・小学校低学年と思春期の子どもを分けて、セルフケアに関する文献からの知見を統合した。 その結果、「1型糖尿病をもつ幼児・小学校低学年児童の療養行動の習得に必要な要素」として、幼児期・小学校低学年までの発達課題の達成をに盤にした、療養行動に対する子どもの気持ち・関心、知識や技術の習得に必要な子どもの能力が導かれた。また、母親と子どもへの周囲からのサポート、および、子どもの療養行動の習得と安全な環境づくりを目指した母親の関わりが抽出された。1型糖尿病をもつ幼児期・小学校低学年の子どもの療養行動の習得に向けた体験の積み重ねは、子どもの成長発達や、それに伴うサポートの広がり、母親の糖尿病管理や育児の習熟を含む複雑な過程であり、子ども、母親、周囲のサポートが相互に関係しながらダイナミックに変化していく枠組みとして示された。これらの結果は、学会誌に投稿中である。 また、幼児期・小学校低学年向けの絵本「はるちゃんといんすりんくん」を作成した。この絵本は、子どもなりにインスリン注射や血糖測定の必要性や、低血糖時の対応、バランスよく食べることの大切さが理解できるように、子どもに説明する時のツールとしても活用できる。また、雑誌「小児看護」2012年2月号において「小児における糖尿病看護 糖尿病をもつ子どもの成長発達に沿った看護を目指して」を企画し、連携研究者、研究協力者とともに知見をまとめ公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究計画のうち、「糖尿病をもちながら成長する子どもの体験」の分析と公表、糖尿病をもつ子どもと家族に関する学位論文の分析、糖尿病をもつ幼児と家族が活用できる冊子の作成について予定通り進行している。看護指針の作成は、幼児期・小学校低学年の子どもと、思春期を分けて分析することになったため、完成はしていないが、平成24年度に向けて作成可能である。また、雑誌「小児看護」で、今までの知見をまとめると共に連携する多職種の協力を得て、最新の医療・教育・案後の知見を発信できたことは意義が大きい。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、学童・思春期の成長発達に沿ったセルフケアの知見を統合し、幼児・小学校低学年の子どもと合わせて、看護指針を作成し、公表する。また、小児糖尿病に関わる看護師や看護研究者が参加する学会において交流集会を開催し、本研究課題で得られた知見について討議する機会をもつ。
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