本研究は、育児中の母親支援を目的に、乳児の泣きの見極めの過程を明らかにし、その過程を提示したガイドラインの作成と臨地での適用を検証するものである。 本年度は、初年度として、母親がいつ頃、どのように乳児の泣きの見極めができていくのかを文献およびこれまでの調査データから明らかにした。 これまでの縦断的な調査データを整理・分析し、以下の結果を得た。生後1年時において、出生時から生後1年を振り返ると、泣きの意味が分かるようになった時期は、初産婦は経産婦より遅く、7~8ヶ月頃から1年であること、また、乳児の泣きで最も困難を感じた時期は、初産婦・経産婦ともに出生後から2~3ヶ月頃までが多く、1年時においても2割程度の母親が乳児の泣きに戸惑いを感じている現状が明らかとなった(つるま保健学会誌35巻1号投稿中)。これは、乳児の泣きの意味の見極めが出生後から2~3ヶ月頃までは極めて困難であることや泣きの意味が判明し、困難を感じなくなるまでには半年以上(7~8ヶ月頃)を要し、中には1年を経ても乳児の泣きに戸惑う母親が少なからず存在することを意味しており、母親支援をするうえで重要な示唆と言える。 ガイドライン作成にあたっては、看護関係のガイドラインを数多く手がけている聖路加看護大学の森教授から助言・指導を受けるとともに、国内のガイドライン関係資料を収集した。 来年度は、今年度の分析結果ならびに既存のガイドライン資料を基に、乳児の泣きの見極め過程をモデル提示したガイドライン作成に着手する予定である。
|