研究概要 |
胎内環境やその後の生活環境が,次世代の発育や発達にどのように影響しているのか,以下の研究目的を設定し,IUGR児の追跡調査を行った.目的1.IUGR児の身体発育特性に関する調査,2.IUGRの視床下部下垂体副腎系への影響を介したストレスへの精神・身体反応への影響に関する調査,3.IUGRの脳への影響を介した認知機能・学習機能,衝動性・多動への影響に関する調査.1994年1月から2000年12月までにA病院にて出生したIUGR児70名,1500g未満のAFD児57名,正期産児49名の子ども達とその母親を対象としアンケート調査を行った.今回,面接の同意が得られた38名の中のVLBW児27名(IUGR児11名,AFD児16名),正期産児8名を解析対象として結果をまとめた. TSST前後における血圧,心拍数拡張期血圧は,TSST前には両群に有意差はみられなかったが,TSST後ではVLBW児が74.5±13.3mmHg,正期産児が63.8±12.7とVLBW児において高い傾向がみられた.拡張期血圧反応性は,VLBW児において,収縮血圧反応性と拡張期血圧反応性に有意な相関がみられた(r=0.62, p<0.01).CDIと収縮期および拡張期血圧反応性には相関はみられなかった.VLBW児および正期産児における,血圧反応性と心理発達項目(CDI,PRS,IQ)との相関は,VLBW児においては,収縮血圧反応性と拡張期血圧反応性に有意な相関がみられた(r=0.62, p<0.01).IUGRと血圧および血圧反応性は,TSST後の収縮期血圧・拡張期血圧ともにVLBW-IUGR児で正期産児に比べ高い傾向(U=21.0, p=0.057 )(U=22.0, p=0.069 )がみられた. 今後,これまで得られたデータを統合し,胎内環境の影響をまとめていく予定である.
|