本研究では携帯電話のメール機能による双方向通信を用いた禁煙指導を妊婦に行い、禁煙率の向上を目的とする。本年度は以下の2点を行った。 (1) 研究対象地域(尼崎市)の妊婦喫煙率の縦断研究結果の解析 妊娠初期から産後1か月にわたる妊婦喫煙状況の実態調査(2007年~2009年)データの解析を行った。その結果、当該地区での自己申告による初期妊婦喫煙率は9.2%、尿中コチニン陽性率(能動・受動喫煙を意味する)は21.6%と高値を示し、中期妊婦、末期妊婦、祷婦の自己申告の喫煙率は13.8%、9.5%、11.3%と高値を維持しており、妊娠することによる妊婦の自発的な禁煙はほとんど認められなかった。また、尿中コチニン陽性率にも19.8%、20.8%、20.2%と変化がなく、妊婦が周囲から受ける受動喫煙も減少が見られていないことが判明した。よって、研究対象地区は本研究による妊婦の能動・受動喫煙の防止プログラムに対する必要性が高い地域であり、プログラムの導入が望まれることが判明した。 (2) 携帯電話による介入プログラムの基礎的検討 (株)アール・タイムとの共同開発による、妊婦禁煙支援プログラム第1案を作成した。1週間ごとに妊婦との双方向通信を行い、妊娠16週から産後1か月にわたり禁煙指導を行う。臨床への導入を前に、現在予備調査として、研究分担者が行う同様の機能を用いた妊婦の尿失禁防止プログラムでの同システムの運用法ならびに改善部分を検証しており、予備研究が終了し次第、平成23年度には本格的な臨床研究への導入を計画している。
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