研究課題/領域番号 |
22592482
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大橋 一友 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30203897)
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研究分担者 |
東田 有加 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20432487)
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キーワード | 妊婦 / 禁煙 / 支援 / 携帯電話 / 双方向通信 / 健康管理 |
研究概要 |
今年度は、妊婦の禁煙支援のための携帯電話双方向通信プログラムの開発を行った。本研究では産後の再煙や受動喫煙の防止のために、妊娠期から産褥期にかけて継続的な禁煙指導を目指している。しかし、禁煙支援だけのプログラムでは非喫煙妊婦のモチベーションの維持が困難であることが判明した。そこで妊娠産褥期に自己健康管理が必要な喫煙以外の項目(体重、食事、運動など)もプログラムに追加し、継続しやすい内容とした。毎週土曜日14時に、(株)アール・タイムのサーバーから妊婦の携帯電話にメールが自動送信される。メールはリクルート時から産褥8週目まで毎週送信され、妊婦は受信したメール内のアンケートに、過去1週間の喫煙を含めた自己健康管理状況を回答し返信する形式に変更した。さらに、妊婦の負担を軽減するため、アンケートの質問は毎回10問で、回答の入力はプルダウン方式であてはまるものを選択するように改良を加えた。妊婦用アンケートの質問項目は、(1)本人の喫煙本数、(2)周囲の喫煙本数、(3)体重、(4)食事の栄養バランス、(5)運動の頻度、(6)下肢浮腫の自覚頻度、(7)排便の頻度、(8)尿失禁の頻度、(9)キーゲル体操の実施頻度、(10)乳首の手入れ頻度である。褥婦用のアンケートの質問項目は、妊婦用の(4)~(6)を、1日あたりの授乳回数、母乳と人工乳の割合、産後うつ傾向に置き換えた。 またWeb上で提供する妊婦の生活指導情報システムの前段階として、紙媒体の妊婦ダイアリーを作成した。研究対象者は、妊婦ダイアリーをもとに、妊娠期から産褥期に必要な自己健康管理の情報を得ることができ、妊婦はダイアリーをもとに自宅での自己健康管理を実施・記録し、その記録をもとにメールへの回答を行うことが可能である。妊婦健診時に妊婦ダイアリーを持参することで、研究登録者は助産師から記録内容に基づいた個別指導を受けることが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
携帯電話双方向通信プログラムの開発と改良に、時間と経費が予定以上に必要となり、臨床での試験運用にまで至っていない。また、当初の研究分担者が産休・育休をとり、研究分担者を変更したために、研究推進に若干の遅れをきたしている。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画していた研究施設を変更し、今年度開発した携帯電話双方向通信システムを来年度は大阪大学医学部附属病院で運用する予定である。試験運用として妊婦のシステムに対するコンプライアンスを確認し、参加率の高いプログラムへと改良を加え、今後の大規模運用につなげる。ただし今回開発したプログラムは、携帯電話でのみ利用できるプログラムであり、スマートフォンには対応していない。今後は研究対象者のスマートフォン利用率が高まることが予想されるため、スマートフォンでも利用可能なプログラムに変更するかについても検討を加える。
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