研究概要 |
目的:本邦では平均出生時体重は減少傾向にあり,低出生体重児の出生が増えている.正常出生体重児の母親と比較し,極低出生体重児の母親では育児上の問題を抱える者が多い.特に子どもの発育や発達,しつけなどに困難感を訴え,育児困難を感じる家族が多いことがわかっている.子どもの健全な成長発達に寄与する成育環境にどのような特徴があるのか分析し,極低出生体重児の適切な育児支援について検討する目的で前向きコホート研究を行う.方法および対象:調査は妊娠期の母親に同意をとり,妊娠前期,後期に調査し,併せて母親のパートナーに対しても調査する.その後,出産時のデータ,出産後半年,1年…と実施していく予定にしている.調査は質問紙で郵送法によって行う。結果:今年度は,調査対象の選定のための資料の収集,調査項目,内容,調査頻度について検討した.調査に関して本学倫理審査委員会の審査を通過した.昨年度末から対象者のリクルートを開始し,調査を開始した.調査対象は同意が得られた2施設で募集することが可能になった.これによって年間700件の妊婦の承諾を得て,3年間で2,100件のコホート研究を実施する予定である.意義:妊娠期から長期追跡して生育環境と育児支援について検討された報告はほとんどない.そのため本研究を進展させていくことは,特に増加している極低出生体重児の長期にわたる子どもの成長過程と育児支援について検討することが可能になり意義深い.
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