本研究の目的は、小児慢性腎臓病思春期患者のセルフマネジメント支援プログラムを開発することである。平成24年度は、平成23年度にトライアルを行ったプログラムの臨床適用のための準備と看護師のためのトレーニングを行い、実施することを目標に計画した。まず、小児科病棟や小児科外来で小児慢性腎臓病思春期患者の看護を実践する看護師に対して、セルフマネジメント支援の実際について、聞き取り調査を行った。その結果、慢性腎臓病に限らず、慢性疾患をもつ思春期患者の看護の実際として、退院時の支援では本人の意思や知識の確認は行っているものの親との話し合いが多いことや退院後の思春期患者自身の生活の即したセルフマネジメント支援としては十分とは言えないことが明らかとなった。また、外来では診療時間中に看護師が対応することは少なく、思春期患者のセルフマネジメント支援を必要と感じながらも十分に実施できていないと感じていた。病棟でも外来でも看護師は、思春期患者のセルフマネジメント支援の必要性を感じ、その方法やスキルを身につけたいと考えており、それは慢性腎臓病思春期患者に限ったことではなかった。また、開発したセルフマネジメント支援プログラムに対する看護師の反応からは、他の慢性疾患思春期患者への汎用性の検討も必要としている状況にあった。 聞き取り調査によって看護師の学習ニーズを把握できたが、今年はトレーニング実施までにはいたらなかった。看護師の学習ニーズとして広く小児慢性疾患思春期患者に対応する内容である必要が生じたため、慢性疾患をもつ思春期患者のセルフマネジメント支援として共通する項目も含めた内容を検討した。その内容と合わせてセルフマネジメント支援プログラムを実践する看護師のトレーニングのための学習会を計画中である。
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