Mishelの「病気の不確かさ」看護中範囲理論を基盤に、病名・病状説明を受けていない小児がんの子どもをもつ親が子どもへの病名・病状説明に対して抱く不確かさの特徴を明らかにすることを目的に、病名・病状説明を受けていない小児がんの子どもをもつ親47名と対照群43名を対象に、質問紙調査を行った。 1.小児がんの子どもへの病名・病状説明に対して親が抱く不確かさ(18項目)について因子分析(主因子法、プロマックス回転)を行った結果、14項目からなる3因子が抽出された(固有値1以上、累積寄与率65.96%)。3因子は、「方法に関する明晰性の不足」「病気・病状や病名・病状説明の是非に関する情報の不足」「必要性の曖昧さ」であった。因子信頼性については、Cronbachのα係数0.895~0.816、再テスト法によるSpearmanの順位相関係数ρ=0.786(p<0.01)であった。 2.小児がんの子どもをもつ親は子どもへの病名・病状説明に対して、「病気・病状や病名・病状説明の是非に関する情報の不足」が最も高かった。対照群と比較すると「方法に関する明晰性の不足」や「病気・病状や病名・病状説明の是非に関する情報の不足」が有意に高く、子どもへの病名・病状説明の時期を先延ばしにする傾向がある。 3.不確かさに及ぼす影響要因では、「方法に関する明晰性の不足」に親の養育観(責任回避的態度)が正の影響を及ぼし、「必要性の曖昧さ」に子どもの発達段階(現在の子どもの年齢、発病時の子どもの年齢)が正の影響を、家族機能(凝集性)が負の影響を及ぼした。 4.不確かさの受け止めに対する対処では、「病気・病状や病名・病状説明の是非に関する情報の不足」は問題焦点型の対処に正の影響があり、不確かさを管理できていると考える。しかしながら、「必要性の曖昧さ」は情動焦点型の対処に負の影響があり、親は子どもへの病名・病状説明に対する意味づけに困難を感じていると思われた。
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