思春期がん患者には「情報獲得を控える」という現象が存在しており、その現象の構造(現象が生じる前後関係、背景、状況、場面など)を明らかにすることが本研究の目的である。 平成25度は、平成21・22年度に関東圏と関西圏で行った思春期がん経験者9名の半構成的面接データのGrounded Theory Approachによる継続比較分析を引き続き行った。当初、化学療法中の思春期患者に参加観察を行う予定であったが、該当者がいなかったため行っていない。 分析については、計5回にわたって、小児看護および質的研究の専門家からスーパーバイズを受けた。 化学療法を繰り返す中で、思春期患者たちは、最初に[からだでのわかりかた]つまり身体感覚を通じ、自分たちの状況を把握していた。[からだでのわかりかた]には、プロセスが存在しており、【しんどいことで精いっぱい】の段階から【治療が生活になる】段階を経て、【からだでだいじょうぶとわかる】段階に至っていた。【しんどいことで精いっぱい】であったり、【からだでだいじょうぶとわかる】ことで情報獲得をしていなかった。患者たちは[情報の選択]を行っており、【自分のからだに起きること】と【希望】といったことがその選択に関連していた。患者たちは、選択肢のない中で【治すしかない】と考え、【「日々」に集中】、つまり[先を見通さない方略]を選択し日々を過ごしていた。
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