研究課題/領域番号 |
22592497
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研究機関 | 新潟県立看護大学 |
研究代表者 |
高島 葉子 新潟県立看護大学, 看護学部, 講師 (20553308)
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研究分担者 |
境原 三津夫 新潟県立看護大学, 看護学部, 教授 (30332464)
中島 通子 四日市看護医療大学, 看護学部, 教授 (60347648)
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キーワード | 開業助産師 / 助産事故 / 信頼関係 / 助産契約 |
研究概要 |
【研究目的】助産事故による紛争・訴訟を回避できた開業助産師と妊産婦を対象とした、助産契約当事者間の信頼関係形成・回復過程を明らかにすることを目的とした質的記述的研究である。 【平成23年度の研究成果】 1.研究方法:今年度は助産契約の一方の当事者である開業助産師4名および助産事故にあった3名の妊産婦に半構造的面接を行った。研究当初、紛争・訴訟を回避した妊産婦を対象と考えたが、研究参加者の選択に苦慮したところから1名は訴訟となった対象も含まれている。また、2組が開業助産師と妊産婦が助産事故を共有する組み合わせである。 2.倫理的配慮:新潟県立看護大学倫理審査委員会の承認を得、面接時には臨床心理士等の同席を行った。 3.結果 1)紛争に至った対象は助産所を選択するにあたり、周囲のすすめや自ら助産師と面会し、説明を聞き自分の意思で助産所出産を決定していた。しかし、正常からの逸脱を機に転院した医療機関で児を喪失し、助産契約時の異常時の紹介先と異なる医療機関への紹介が原因だとして数年後訴訟に踏み切った。信頼関係が崩壊したプロセスは「助産所出産希望の実現期待」「健診のたびに深まる信頼感」「正常逸脱時の対応への疑念」「助産契約の不履行」→助産事故→「助産師から皆無な対応」「虚偽の言動への怒り」「訴訟の決心」 2)良好な関係を維持していた対象の信頼関係を維持できたプロセスとして、助産事故の後遺症がなく経過したことは前提であるが、「助産所出産希望の実現期待」→助産事故→「助産事故の要因には自らの責任の認識」「全面的な誠意ある謝罪」「良好な予後」「事故を契機に親密性の増加」「意味ある体験」であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)初年度(平成22年度)は体調を崩し、思うように動くことができなかった。 (2)さらに平成22年度末の平成23年3月11日の東日本大震災は、研究参加者の心理にも影響を与え、面接を送らせてほしいという申し出があった。(3)研究参加者の選定で予想以上に困難があった。(4)分析方法に迷いが生じ、分析が進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
(1)研究目的に照らし合わせ、分析方法がほぼ決定した。研究参加者の人数はこれ以上多くなるのは、困難さがあるが、分析の進行の中であと1~2名の面接を実施することになると思われる。
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