研究課題
本研究は、きょうだいを亡くした子どもの悲嘆のプロセスを明らかにし、親と一緒に行うグリーフワークプログラムを考えることを目的としている。平成22年度は、きょうだいを亡くした子どもへの調査準備として、主に文献検討を実施した。また、グリーフケアセミナーへの参加と研究者会議を通して、子どもへのグリーフケアの現状とニーズを把握し、今後の調査方法を検討した。文献検討では、きょうだいの病状について詳しいことを聞かされないまま、死に直面する子どもが多いこと、きょうだいが病気なのに自分が健康であることに罪悪感を抱きやすいこと、きょうだいの死後は両親との関係に悩むケースが多いことなどが明らかになった。連携研究者が主催する「東アジアグリーフケアセミナー」における情報交換では、子どもを亡くした親に対するグリーフケアが主流で、きょうだいを亡くした子どもへのケアは、そのような親の会に派生して一部で行われているにすぎない現状が明らかになった。また、予備調査の一つとして、小児がんの子どもが入院する全国の病院を対象に、きょうだいへのグリーフケアが行われているかどうか調査を実施した。現在、データ収集中である。今後の調査方法としては、子どもへの調査となるので、倫理的配慮など慎重に行うことを確認し、まずは子どもを亡くされた親の調査を行い、きょうだいを亡くした子どもの様子をどのように受け止めたか、そして親として子どもにどのようにかかわったのか明らかにすることとした。