成人教育学の枠組みに基づく教育実践による能力形成過程を明らかにするために、リフレクションを導入し妊婦健診実習とカンファレンスを併行して行う群(実験群)と講義を終了した後に産褥期まで継続して受け持つケースの妊婦健診を行う群(対照群)を設定し、データ収集を行った。 今年度は、対象群9名、実験群6名を対象とし、両群に知識の統合および技術への自信の程度に関する自己評価表の記入依頼し、実験群(3名)に毎回の妊婦検診時の振り返りの実施、および単元終了後の面接を実施した。そして、数値データはコード化とデータ入力を行い、質的データは匿名化文書の作成を行った。 さらに、臨床実践とカンファレンスを併行した教育の効果的な環境要件に関するデータ収集を目的とした実習指導助産師4名、実習指導にあたった産科医3名を対象にした面接を実施した。面接データは、匿名化文書作成を行った。 また、成人教育を基礎とした教育プログラムの作成に向け、助産師外来担当助産師の教育課程に関する情報収集を行った。計画当初は、助産師外来導入数が少なく、導入された施設ごとに助産師が果たす役割にも違いがあり、助産師外来における助産師業務のスタンダードが確立していなかった。しかしこの数年間で、産科医不足への対応としての社会のニーズが増し、急速に助産師外来実施施設も増加し、産科医と助産師の協働による妊婦管理という体制が定着し、日本助産師会が主催として助産師外来を担当するための研修プログラムも定期的に開催されるなど、一定の教育基準も定まってきていることが明らかになった。そこで、過去5年間の助産師外来の実践報告から、助産師外来普及に伴う助産師の役割、妊婦管理の変化と職能団体、学会などが主催する助産師外来担当にむけた研修プログラムなど、これまでの流れを整理することとした。
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