平成24年度は、追加のデータ収集を行うと共に、昨年度に分析を終了した文献調査の学会発表と、昨年度データ収集を終えた妊婦健診実習に関わる指導助産師と産科医を対象とした面接調査の分析と国際学会での発表を行った。 追加のデータ収集は、成人教育学の枠組みに基づく教育実践の実験群4名の質問紙および面接調査である。質問紙の内容は、妊婦健診に用いる診断技術と助産診断に関する自己評価(47項目 5段階リッカート尺度と自由記載3項目)であり、分析は、反復測定による一元配置分散分析により行った。その結果、実験群、対照群共に測定技術、母子の健康状態の把握の自己評価は実習後に有意に高くなった。そして実験群が対照群よりも有意に自己評価が高い項目は、分娩様式の予測、胎児の姿勢の診断、パートナーの親準備状態の診断、栄養と親準備に関する健康教育だった。面接調査は、録音した内容を逐語におこし、意味内容がわかる最小単位に切片化して内容分析を行った。その結果、11のカテゴリーを抽出した。 妊婦健診実習に関わる指導助産師4名と産科医3名に対する面接調査も上記と同様の手順で内容分析を行い、14のカテゴリーと35のコードを抽出した。学生に関わった専門家は「緊張」「積極性」「技術の自信」「助産ケアの深まり」の四つの側面から学生の成長を認識し、各側面に対応した学生への配慮や働きかけを行っていることが明らかになった。 さらに、文献研究では、「助産外来」「妊婦健診」「妊婦診断能力」「能力基準」「助産教育」をキーワードにして検索した26件の文献を分析対象とした。その結果、助産師外来担当助産師の基準はおおむね2009年発表のガイドラインに見合うものだが教育プログラムは自助努力にゆだねられている実情が明らかになった。
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