≪目的≫助産師の臨床能力向上のため、分娩介助技術および分娩に関連する看護についてOSCE (Objective Structured Clinical Examination)を用いた評価を行い、その分娩介助技術の修得過程を明らかにし、OSCEの有効性について検討することである。≪方法≫研究参加者は、臨床経験10年以上の助産師(以下熟達者と記す)と臨床経験2年未満助産師(以下新人と記す)および本学助産師課程選択学生(以下初心者と記す)の3グループに分け、OSCEを実施した。妊娠、分娩、産褥、新生児期に関する助産師の看護実践能力に必要な内容を精選し、4課題を作成した。研究参加者はこの課題によるOSCEを10分間実施し、その内容をDVDに収録し、収録したDVDを研究参加者と研究者とでOSCE実施後に視聴した。その後、それぞれのグループ別にグループインタビューを行った。録画内容について、3グループの特徴について、『ヒューマンケアの基本に関する実践能力』、『根拠に基づき看護を計画的に実践する能力』、『特定の健康課題に対応する実践能力』のOSCE実施における視点に基づき分析を行った。インタビュー内容については逐語録を作成し、OSCE実施が自身の看護実践への気づき、臨床能力向上に関与すると思われる要因を明らかにした。≪結果≫初心者は、課題場面より必要なケアの推測を行い、「自身の判断に対する低い信頼性」の特徴があった。新人は、「マニュアルに従ってのケア実施」により、普段とは異なる場面による自身の「判断の曖昧さの露呈」となり、「自身の看護の課題の実感」の機会となった。熟達者は「五感に基づき瞬時の判断」を行い、普段の状況と異なる場面設定に対しても「状況に合わせた対応」をしていた。≪結論≫臨床経験の違いがあって助産師の助産技術修得状況を評価することにOSCEを用いることは有効であった。
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