本研究の目的は、慢性疾患をもつ幼児が自分の身体状況について“わかる”という現象について、その構造を子どもの立場から質的に明らかにすることである。今年度は引き続き、データ収集と分析を行った。新たに、腎疾患1例、アレルギー性疾患5例の協力が得られた。データ収集は、入院治療中に10回、外来受診時に2回の計12回の参与観察により行った。 子どもは入院中、症状がない場合、入院生活の多くを遊ぶことに費やしていた。しかし、入院の必要性を母親から事前に聞いており、それを言語化することもできており、遊びながら検査や処置があることを意識していた。医療者から検査や処置の開始を伝えられると、『無言でじっとする』『無言で処置室に向かう』『診察時はじっとしている』などの行動がみられ、それ以前より何らかの行動が静止することが明らかになった。食物アレルギーをもつ子どもは、アレルゲン(食品)が何であるかを母親から知らされており、それを食べてはいけないという認識はもっていた。しかし、友人との会食において、自己のコントロールが困難になる場合がみられた。その場合、症状が出現するが、持続することはないため、また同じ繰り返しをしていた。食べられない食品に関しては『まだ、無理』というように、いずれ食べられるようになると捉えていた。症状が出現した場合、多くは家族や医療者が気づき子どもに声をかけていた。しかし、遊んでいる途中に子どもから以前とは違う身体の異変に気づき、家族に伝える子どももみられた。医療者より対処を受けるが、その間でも遊びの欲求が持続、または増強する場面もみられた。看護師の介入により、両方とも満たす関わりができていると、子どもは落ち着いて、症状の緩和への行動をとりながら、遊ぶことができていた。 年間を通して、関連のある学会に参加し、データの信憑性を高めるために、情報収集と情報交換を行った。
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