平成22年度は、死別体験のある子どもへの支援を検討するに当たり、臨床現場をフィールドとし実施していくためには、臨床現場の協力や理解を図ることが優先課題と考え、緩和ケア、成人系病棟及び小児病棟の看護師らを対象に子どもへのグリーフケアに関する研修会を実施した(2010年9月、2011年1月)。 研修会は、2か所の病院で実施し28名の参加者(内訳看護師25名、MSW2名、保育士1名、成人系病棟勤務看護師13名、小児病棟勤務看護師12名)があった。講義のテーマは、「子どもの認知発達と死の理解、喪失へのケア」とし、子どもの発達段階と死などの理解や反応に関する基本的な内容に絞った。研修会後の参加者アンケート結果では、身近な人と死別しなければならない子どもとの関わりを体験している者17名、そのうち関わりに難しさ、困難を感じた者12名であった。その内容は、話す必要があると感じながらも子どもと死を話すことの戸惑いや何をどのように話してよいのかわからないといったものであった。講義内容には、関心が高く子どもの発達段階と死の理解や反応に関する基本を知り、子どもを理解する上での参考になったようであった。また、子どもと向き合うことや避けてはいけないこと、子どもにとっても死はタブーでないこと、別れのプロセスを大事にすること、子どもの力を信じることといった内容が印象として残ったようであった。これらの結果から小児病棟や成人系で勤務する看護師を問わず、子どもと死の問題を語ることに戸惑いや構えをもっていることが明らかになり、子どもへの支援を考えていく上での臨床現場への子どものグリーフケアへの啓発活動を続けながら協力して検討進める必要性が明らかになった。 また、小学3・4年生を対象とした「死ぬこと、生きることの意味を考えよう」のテーマで授業を1回実施した(2010年11月)。子どもたちが死の問題をどのように考えているかを理解する機会となった。
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