本研究は、乳幼児期の子どもを持つ若年(10代)の母親を対象とした縦断研究を、子どもが生後3~12ヶ月まで実施し、若年の母親とその子どもの母子相互作用の特徴と、母子が必要としている育児支援について明らかにすることを目的としている。 平成22年度の準備期間を経て、平成23年度から順次対象者のリクルートおよび育児支援の実施を試みる予定であった。当初は、家庭訪問による育児支援を中心に計画していたが、本研究が対象としている乳幼児期の子どもを持つ若年の母親の協力を十分に得ることがでなかった。計画を子育てサロンの開催に変更し、同様にリクルートを行ったが、定期的な開催には至らなかった。 平成24年度は、研究協力者のうち危機的状況(虐待)となった1事例に対し、継続的に介入を行い、母子相互作用と育児状況を観察し、ケーススタディとしてその特徴を分析した。NCASTによる母子相互作用の得点は、既存の20歳以上の母親のデータと比較し低い傾向にあり、虐待前に得点の低下が顕著であったこと、虐待後の介入で得点が改善したことで介入効果が証明された。若年の母親は、生活経験・体験が不十分なため、育児全般の支援が必要であること、母子相互作用においても子どものサインを読み取る知識を提供することが必要であること、また、社会資源の活用を行うことが少ないため情報提供が必要であることなど、支援を行う上での配慮点が明らかとなった。 これらの研究成果を、平成24年度に、東京医科歯科大学で開催(平成24年9月30日)された国際ワークショップでプレゼンテーションし、また、雑誌論文として発表した。今後は、さらに多くの研究協力者の協力を得て若年の母親の育児支援の方略を確立させるために、研究を進めていく予定である。
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