研究課題/領域番号 |
22592517
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研究機関 | 日本保健医療大学 |
研究代表者 |
田崎 知恵子 日本保健医療大学, 保健医療学部・看護学科, 准教授 (00389892)
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研究分担者 |
久保 恭子 埼玉医科大学, 保健医療学部, 准教授 (10320798)
岸田 泰子 杏林大学, 保健学部, 教授 (60294237)
田村 毅 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10242231)
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キーワード | 酵素補充療法 / ムコ多糖症 / 恩恵と負担 |
研究概要 |
1.研究方法 (1)酵素補充療法の対象となるムコ多糖症児の家族105名を対象に、酵素補充療法を受けて変化した点、酵素補充療法に関する希望などを問う質問紙調査を実施した。 (2)酵素補充療法を実施しているムコ多糖症児の家族(3)家族対象に、治療による恩恵、治療の負担と感じていることについて面接調査を行った。 2.結果 (1)治療期間の平均は2年7か月であった。治療開始後の変化として、皮膚が柔らかくなった、お腹が小さくなった(肝腫大の改善)、呼吸が楽になった、鼾が小さくなった、などがあった。治療に望むことは、点滴以外の方法による実施、回数が減ることなどであり、副作用の出現で治療を継続していいのかわからない、効果が見えないなどの不安も抱えていた。 (3)恩恵と捉えていることは、身体的側面、心理社会的側面、養育上の側面、発達の側面、の4カテゴリに分類できた。負担は治療方法に関すること、介護養育に関すること、効果に関すること、医療施設・システムに関することの4カテゴリに分類することができた。特に負担では、情報が限られているために、意思決定ができないことに不安を感じていた。 3.考察と今後の課題 改善が顕著な、肝腫大の改善や、関節可動域の拡大などは比較的よく認めることができ、治療を積極的に受けようという態度に影響を与えていると考えられた。一方、副作用の出現で治療を中断する者、効果が認められずに継続すべきか、中止すべきか苦悩している家族の姿が浮き彫りになった。医療者にとっても治療の長期的作用について未知の部分もあり、提供できる情報は限られているが、治療システムを整えていくこととカウンセリング機能を発揮して個々の児と家族に対応していかなければならないことが急ぐべき課題である。患児の治療期間の平均は2年7か月であったが引き続き治療による変化と家族の状況を把握していく必要がある。と同時支援プログラムの開発としてどこに焦点をあてるか、優先度の査定と医療機関との連携を図る必要がある。
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