研究課題/領域番号 |
22592517
|
研究機関 | 日本保健医療大学 |
研究代表者 |
田崎 知恵子 日本保健医療大学, 保健医療学部, 准教授 (00389892)
|
研究分担者 |
久保 恭子 埼玉医科大学, 保健医療学部, 准教授 (10320798)
田村 毅 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10242231)
岸田 泰子 杏林大学, 保健学部, 教授 (60294237)
|
キーワード | ムコ多糖症 / 酵素補充療法 / 恩恵と負担 / 意思決定 |
研究概要 |
緒言・目的:2007年よりムコ多糖症型児への新治療として酵素補充療法がわが国でも可能となった。しかし、効果、副作用には未知な部分があり児と家族は、治療への効果に大きな期待を寄せると同時に、効果の程度、治療にかかる生活全般への負担、将来への不安を抱えていると考えられる。本研究は、不安を抱えながら治療を続ける児と家族に対して継続的な支援方法を構築してゆくために、児と家族が感じている治療に対する恩恵と負担を明らかにすることを目的実施している。 方法:酵素補充療法を受けているムコ多糖症児の家族9組を対象に、酵素補充療法を受けながら生活している実態について詳細な情報を得るために面接調査を実施した。 結果:治療効果を自覚症状や家族の観察において確認できる者は治療への恩恵を感じており治療の継続にあたって日常生活を工夫している。また児の成長発達とともに受診に関連した家族の負担は軽減しておりQOL向上に向けて希望を抱いていた。しかし治療効果が得られていないと感じている場合いつまで治療を続けていけばいいのか意思決定に迷いがあり苦悩を抱えていた。治療効果に関わる情報が充分得られていない現状において苦悩する家族らの現実が浮き彫りになった。また調査対象の家族を縦断的に観察することで治療が児に及ぼす発達的側面をが明らかになりつつあり、これまで児の二次性徴などを観察する機会が少なかったことから、思春期を迎えた児への家族の対応についてあらな不安が生じてきていることも解ってきた。 考察:恩恵はQOLの向上につながり、:負担はQOLを脅かすことになる。支援の軸は負担となる要素を少しでも軽減することである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査をとおして児と家族が抱える課題が明確になりつつある。支援の方向性が得られている。
|
今後の研究の推進方策 |
1.患児の養育、通院治療にかかる人的支援、2.在宅治療の可能性を含めた治療システムの整備、3.児と家族への精神的サポート、4.酵素補充療法やその他の治療開発に関する情報提供、が必要であると考える。これらの構築に向けて、治療に伴う児と家族の変化の有無や、その具体的な状況を把握することが今後の課題である。
|