研究概要 |
妊娠・分娩・産褥期にある女性は、女性自身と我が子の健康を願い、生活習慣や健康行動を見直すことに関心が高まる。このようなニーズに効果的に応えるには、Women-Centered Care(WCC:女性を中心としたケア)の概念が有効である(Pope et al.,2001)とされている。 本研究では、特定の助産師チームが継続的に妊婦個別に"女性を中心としたケア"を提供することにより、その後の出産・育児期にわたる長期的な子産み子育て力につながるかどうかを実証することを目的とする。ここで言う子産み子育て力とは、母親が経験する<エンパワーメント>、<周産期の健康獲得>、<長期的な満足度>を指す。 2010年度は、質的研究の結果を統合した質問紙の精選を行った。研究協力者である飯田が開発した"女性を中心としたケア"質問紙を基盤にして、参加観察等の質的研究(Yana, Horichi & Eto,2007;竹原ら、2009)で得られた知見を比較・分析して質問紙に統合できる内容があるかどうか吟味して、新たな質問紙を作成した。また他の質問紙の検討も行い、採用するものを決定した。 さらに、質問紙を用いた前向きコホート調査の実施と分析・評価を行うための基盤整備を行った。本研究では、特定の助産師チームによる継続ケア群(Continuity of care by Midwives team : CoM群)と、複数の医師と助産師による非継続ケア群(Non-Continuity of care by a combination of Physicians and Midwives : N-CoPM群)による女性のアウトカムの比較を行う。その準備として、本研究のプロトコールを順守できる施設(継続ケアM群)および、非継続ケア群の開拓、研究協力依頼を行った。今後、質問紙調査は縦断的(妊娠期・産褥期・育児期)に行なう予定である。
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