平成24年度は、23年度から継続した調査を行い、その結果から気管切開を実施して家庭で生活する幼児の療養行動獲得に向けた親への支援に関する看護プログラムを作成した。 複数の施設の専門外来において23名の気管切開を行った幼児とその親に参加協力を依頼し、診療時の参加観察および親への聞き取りにより、幼児の療養行動獲得プロセスについて構造化した。気管切開を行って療養行動を獲得していく幼児の療養行動発達の過程は、幼児自身の行動欲求と親の「療養に適う」方向への働きかけによる動機づけのプロセスとして説明できた。幼児は発達過程にしたがって、特徴的な行動欲求や療養行動への関心を持っており、幼児自身の欲求や関心に動機づけられて行動していた。また親は幼児の欲求を読み取りながら、「療養に適う」ような働らきかけを行っていた。これには親の「生命の脅かし」と「子どもの育ち」のバランスを図る判断が関与していた。この結果を生かして、子どもの療養行動獲得支援に向けた外来看護のプログラムには次のような内容を含めた。①情報収集の内容、②パンフレット、DVD、面接等の機会の確保による気管切開を実施して生活し発達する子どものイメージづくり、②親の子どもの欲求や能力への気づきとして、日常生活行動獲得の状況から可能な療養行動を提案する、③子どもの動機づけの方略の提供、④情緒的・社会環境的支援である。 このうち、DVDはスケジュール調整上25年度に繰り越して、親が難しさを感じている気管切開部の処置について作成した。このDVDの特徴として、技術そのものだけではなく、子どもが成長する中で示す、主体的な参加への言動の例を入れ、家族が子どもの発達や主体性に気づき、それを生かせるようなコメントを入れるようにした。
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