本年度は、研究の目的である助産所における助産診断と診察技術について、助産所の助産師の研究参加の同意を得てデータ収集を開始した。助産師としての経験年数が50年余である研究参加者から得るデータは豊富であるため、3回のフィールドワークと3回のインタビューを実施した。また、実際に研究者をモデルとして妊婦健康審査の場面の動画を録画した。助産師が妊婦へ問う内容は非常に平易であるため、その意図をインタビューによって言語化していった。また、妊婦中の助言指導にあたって、研究参加者である助産師が母乳育児支援を核に展開しているため、研究者がその意図を理解するために産後の母乳育児支援についてもフィールドワークを行った。また、助産師がこれまでに学んだ教科書・参考書、受講した講習会の資料を複写させて頂き、助産師の判断の基準となる内容について情報収集を行った。また、研究参加者の助産師が指導を受けた助産所の助産師に面会し、現在では閉院している助産所内の診察器具等を拝見した。 研究参加者より、診察しやすいうえ、データも現実的で真実味があるので、実際の妊婦健康審査の撮影について提案があった。データ取集方法が一部変更されるため、研究倫理委員会に再審査を申請し、承認を得た。 研究参加者は熟練の助産所の助産師であり、これまでの経験や研鑽によって培われた助産診断と診察技術は卓越している。また一方で、助産師の助産診断および診察技術は非常に基本に則って実践されているため、詳細に映像化・言語化することで、後世に十分伝達しうる内容である。
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