先天性心疾患は、生命に直結した疾患、生まれながらの疾患という特徴より、患者は幼少期から特有の危機状況に遭遇し、そこから立ち直り、乗り越えてきた。 当該研究の目的は、「レジリエンス」という人の内面の強さを示す心理的特性に着目し、継続的に生じる問題をかかえながら成人期へ移行していく先天性心疾患をもつ学童期・思春期・青年期の子ども(人)の「レジリエンス」を育むためのアセスメントツールを開発し、実践に適用することである。 平成23年度までに、先天性心疾患をもつ学童期、思春期、青年期の人を対象としてグループインタビューを実施し(対象者21名)、「レジリエンス」の視点で分析した。この結果に基づき、学童期、思春期、青年期、各期175名、合計525名を対象とした質問紙調査を実施した。 平成24年度は、このアンケート調査のデータを分析し、結果を基に、レジリエンスを育むアセスメントツール(試案)』を作成した。そして、全国心臓病の子どもを守る会の協力を得て、学童期、思春期、青年期の当事者(13名)、親(22名)、先天性心疾患患者の看護を専門とする看護師(11名)を対象として、『レジリエンスを育むアセスメントツール(試案)』の妥当性を検証する目的で、グループインタビューを実施した。そして、検証結果を分析し『レジリエンスを育むアセスメントツール』を完成させた。『アセスメントツール』は[自分の病気のことがわかる]、[親ではなく自分で医師と話をする]、[親が体調の管理を任せてくれる]、[将来の生活に希望を持っている]他、全20項目から成る。
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