生殖医療の進歩により、不妊治療後の妊産褥婦の数は増加にある。一方、臨床では未だ対象女性の求めるケアが提供できていない現状がある。そこで、本研究では先行研究より明らかにされた、女性のケア・ニーズに沿った看護の提供を目指して、看護者への教育プログラム開発を行うことを目的に研究を行った。本年度は、まず学習者である看護者の学習ニーズを明らかにするために、質問紙調査を行った。その結果、以下の4つの学習ニーズか明らかにされた。 1.不妊患者の現状・実態について:具体的には「ケアの受け手の生の声」、「妊娠成立までの気持ちや妊娠成立後、出産から退院、退院後の思い」、「患者の看護者に対するケア・ニーズ」を知りたいという内容が認められた。2.生殖看護(具体的なケア・支援方法)について:具体的なケア方法として「メンタル面のケア方法や精神的ケア」、「妊娠中の関わり方、保健指導」、さらに「具体的な介入事例や症例検討」についての学習ニーズが認められた。3.不妊治療について:「治療内容や治療成績」「現在の不妊治療」について知りたいという内容が認められた。4.周囲の支援体制(専門的支援体制、ピア・サポートなど)の現状について:周囲の支援体制に関して「不妊相談、外来でのメンタルフォロー」、「コーディネーターの活動の実際」、「不妊症の自助クループ」等についての学習ニーズが認められた。 本年度は、上記1および2のニーズに対して、産科病棟の看護スタッフを対象に2回の「学習会」を開催した。その結果、学習会に参加したことで学習ニーズが充足され、さらに学習に対する意欲の向上が認められ、以上のことから、学習会の効果と有用性が示唆された。
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