小児がん経験者の家族と現在中学生以上の小児がん経験者を対象に、小児がん経験者の復学時の現状と問題を明らかにし、学校と医療者との連携のあり方を考案していくことを最終目的とし、小児がん経験者の復学後の学習、友人関係を中心に質問紙調査を行った。 分析途中であるが、家族からの調査結果では、以下のような傾向がみられた。 入院中の学校とのつながりに、家族が「満足」していた理由は、級友からの連絡、担任教師の学習支援であった。「不満」の理由は、連絡不足であった。 家族と本人との復学準備では、小学生の家族の中には精神的強さを小児に求め、学校におけるいじめ対策があった。 学校と本人・家族との復学準備では、医師や看護師に同席を希望する家族もあった。 学習困難に対する家族の対応は、小児の体力を考慮しながら、通信教材や家庭教師を活用していた。中学生では、経済的余裕のない家族は、自己学習を勧め家族が教えていた。また、機械的に在籍年限で中学を卒業させられることに疑問を持つ家族もいた。 友人関係では、小学生はかつらを級友や学年の違う児童にひやかされ学校を嫌がり、家族は学校へ解決策を求めていた。中学生の家族は、入院中の友人関係の変化による悩みの相談を受けていた。 学校への要望は、小学生の家族は友人関係への配慮で、中学生の家族は学習面であった。 小児がん経験者からの調査結果では、以下のような傾向がみられた。 入院中の学校とのつながりについては、問題はなかった。復学時、気がかりだったのは、「健康」、「学習」、「友人関係」、「通学」であり、小学生、中学生に共通していた。 級友への復学時の説明は、小学生は担任教師、中学生は担任教師、家族、本人であった。中学生の復学後の友人関係の悩みは、「友人の話題についていけない」、「気を使われることが心苦しい」であり、自分の存在を否定する言葉に傷ついていた。学習面は、「殆どの級友ができることが、できない」、「受験の心配」であった。
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