研究課題/領域番号 |
22592536
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
三木 明子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (30315569)
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研究分担者 |
松井 豊 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (60173788)
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キーワード | 惨事ストレス / 暴力 / 被害者支援 / 看護職員 / メンタルヘルス / PTSD |
研究概要 |
職場で経験する惨事ストレスの実態と影響を検証するために、本年度は救急領域で勤務する看護職員を対象に調査を実施した。ドクターカーまたはドクターヘリを有する全国の救急現場のうち、調査協力の得られた医師(N=140)と看護師(N=338)のデータを分析した。看護師の性別は男性13.6%、女性86.4%、管理職10.6%、非管理職89.4%、病院内においてトリアージを行う者は59.0%、ドクターカーに乗車する者は8.2%、ドクターヘリに搭乗する者は20.9%であった。IES-R(出来事インパクト尺度)の平均得点は10.9(SD=13.7)であり、医師7.9(SD=11.3)、看護師12.0(SD=14.4)、カットオフを超えた割合は医師が10.2%、看護師が18.5%であった。今までの救命活動で精神的に衝撃を受けた体験を有する看護師の割合は87.5%であり、そのうち繰り返し経験している者は65.3%に及んだ。また看護師が被った惨事ストレスのうち、精神的に衝撃を受けた体験で頻度が高かった出来事は、交通事故の外傷(55.0%)、小児の心肺停止(46.4%)、縊死による自殺(36.7%)、交通事故以外の事故死(水死・転落死等)の外傷(35.2%)、火災による火傷(32.8%)、飛び降り自殺(31.7%)、成人の心肺停止(25.1%)等の順であった。 惨事ストレスのうち、患者からの暴力に焦点を当て、A病院の看護職員(看護師、介護福祉士、保育士、看護助手、臨床事務等)を対象に調査を実施した。対人暴力、対物暴力、暴言、威嚇行為を各4-5割経験しており、身の危険を非常に/まあまあ感じたのは暴言と威嚇行為で各6割であった(N=697)。言葉や威嚇行為であっても身の危険を感じる割合が高いことが分かった。 患者から暴力(一次被害)を受けた看護職員の危機後の支援方法を検討するため、病院職員に二次被害防止のための教育を実施した。教育実施2ヵ月後に調査を行い(N=39)、設定した5場面において、二次被害防止のための対応の正答率は46.2~100.0%と高く、教育により概ね正しい知識を習得できていた。また看護管理者の暴力被害者への直後の対応を確認するため、二次被害防止チェック22項目を作成した。
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