研究概要 |
本年度の実施は,最終年度の調査、研究のまとめ、及びプログラムの検討である。 ①平成22年度(1期)、23年度(2期)の参加者の冬期間の結果を分析し、活動量との関係を分析した。冬期間の分析が可能な71名を対象として、平均活動量、平均歩数を従属変数とし、ステップワイズ重回帰分析を行った。目的変数は属性、介護予防評価、老人期うつ病評価尺度、日中過ごす居室の室温、12月と3月の握力、足指間力、BMI、ファイブコグ(認知機能)である。平均年齢は73.7±5.8歳であった。3Metz以上の平均活動量は2.2±1.4Metz、平均歩数は5,584±2,400、日中の平均居室室温は16.3℃であった。12月と3月では左握力が有意に増加し、左足指力が有意に低下した。平均活動量に関連したのは、年齢(β=-.408、P<0.01)、認知機能(β=.211、 P<0.05)、介護予防評価(β=-.330、P<0.01)、日中の平均居室室温(β=.213、P<0.05)であった。 ②2期冬期の参加者を対象に、秋期(10月)の継続調査を行った。研究期間を通じて、冬期間と秋の比較が可能な継続参加者の総数は48名であり、対応のあるt検定を行った。冬期に比べ秋期は、平均歩数は947歩有意に多かった。握力は左右共に有意に増加し、足指間力は左右とも有意な低下はなかった。老年期抑うつ尺度の得点は有意に改善した。認知機能の得点は改善したが有意差はなかった。 ③以上より冬期の活動量を維持するには、室温への配慮と認知機能の低下予防が必要であると示唆が得られた。また、歩数は健康日本21の目標値を下回っており、介護予防、認知症予防と関連する歩行力を高めるには、冬期間の足の力低下を予防するサポートが必要であると示唆が得られ、今後の介入プログラムを作成する貴重な資料となった。
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