研究概要 |
平成21年度までの研究で行った尺度試作版の分析成果を踏まえ、当初計画に変更を加えた。その理由は、(1)分析対象集団の性別構成割合に当初予測したほど大きな差がみられなかったこと、(2)基準関連妥当性の検討に関わるであろう健診データとエンパワーメント尺度試作版の下位項目との関連をあらかじめ踏まえておきたいと考えたためである。以下にその結果の概要を述べる。 平成19年度から平成21年度までの科学研究費実績報告書に示したとおり、エンパワーメント尺度試作版を構成する下位尺度は、運動(「楽しく運動を継続する方法を見つけることができる」など、11項目)、認識と対処(「必要に応じて、食事療法をしていることを人に伝えることができる」など、12項目)、食習慣(「カロリーの高い食品を低い食品に置き換えることができる」など13項目)である。 この下位尺度ごとに、健診データの提供に同意が得られた者609名を対象に、BMI、血圧(収縮期、拡張期)、TG、LDL、HgAlc等の検査結果との関連を検討した。 その結果、BMIと食習慣(n=547,t=3.31,p<0.01)、拡張期血圧と食習慣(n=609,t=2.11,p<0.05)、HgAlcと認識と対処(n=609,t=-2.64,p<0.01)において、エンパワーメント尺度試作版の下位尺度得点が低い者ほど、検査値が有意に高くなっていた。 また、性別の構成割合は男42.9%、女57.1%と当初予測ほど大きな差は生じなかったものの、年齢構成では、60歳以上が73.6%を占めていた。これらは、さらに尺度の適用範囲の検討を行う必要を示唆している。
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