研究概要 |
喫煙習慣を持つ女性にとって,妊娠は禁煙を考える機会となり禁煙する女性も多いが,産後に再喫煙する女性も多い。本研究の最終目的は,妊産婦とパートナーを対象とした妊娠期から出産後までの継続した禁煙サポートプログラムを開発することである。本年度は,1)家庭における受動喫煙曝露状況に関する調査及び受動喫煙防止啓発用教材の作成,2)禁煙サポートプログラムの検討を行った。 1)家庭における受動喫煙曝露状況に関する調査及び受動喫煙防止啓発用教材の作成 基礎研究(平成22年度実施)として行った妊産婦とパートナーの喫煙行動に関する調査結果から,パートナーの約70%は妊婦の目の前でタバコを吸わなければよいと考え,換気扇の下,ベランダ,屋外等で喫煙している実態が明らかとなった。そこで,本研究は,妊産婦や乳幼児が最も受動喫煙を受け易い場所である家庭内における受動喫煙曝露の実態について実測データを用いて検証することを目的に行った。方法は,調査協力機関であるG市の喫煙者の居る2つの家族に協力を得,家人(喫煙者)が日常的に喫煙している場所及び家人が日常過ごす居室(非喫煙場所)での喫煙前後の微小粒子状物質(PM_<2.5>)の連続測定を行い受動喫煙曝露濃度の評価を行った。また,タバコ煙の動きを視覚的に捉えるためにレーザー光源可視化装置を用いそれをビデオで撮影し受動喫煙防止啓発用の教材としてDVDの作成を行った。結果,家庭で一般的に行われている受動喫煙防止対策では同居する家族の受動喫煙は防止できず,「分煙」ではなく「禁煙」をすすめて行く必要性が明らかとなった。 2)禁煙サポートプログラムの検討 地域で対象者に直接禁煙サポートを行う研究協力機関の市保健師を中心に,禁煙サポート方法に関する学習会を行った。併せてサポート内容,禁煙サポート実施(介入)時期,期間,介入方法について検討を実施しプログラムの素案を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度実施予定であった,1)家庭における受動喫煙曝露状況に関する調査及び受動喫煙防止啓発用の教材作成及び2)禁煙サポートプログラムを実施するコアメンバーである保健師とともにプログラムの素案の作成が計画どおりできた点から順調に進展しているとした。また,その結果については,国際学会,公衆衛生学会等,国内外の学会で報告を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本年度作成した,受動喫煙防止啓発用の教材であるDVDは,G市の母子健康手帳交付時に保健師が活用して健康教育を実施しその効果について評価を実施する。教材は対象者,保健師等からの評価に基づき改良を行い,市内医療機関,子育て支援センター等に配布し乳幼児や妊産婦等がタバコの健康被害を受け易い家庭内での受動喫煙防止対策を推進していく。禁煙サポートプログラムについては試行実施を得た後,プログラムの改良を行い本実施していく予定である。
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