保健師基礎教育における施策化に関する能力を高めるため授業案及び実習指導案を作成した。授業案はこれまでの研究結果から「施策化の考え方や必要性」を理解でき「保健活動の展開の一環であり、保健師にとって重要な活動」であることを、「施策化のプロセスの演習」を通して理解できるよう構成した。授業案は1コマ90分授業で10コマとし、2段階とした。1段階は「地域診断-保健計画作成プロセス」(講義2、演習6)で、市販テキストから2事例を活用し、町全体の健康課題を特定する事例から、情報量が多く、保健・医療・福祉など、より総合的視点から健康課題を特定する事例へと難易度を上げた演習を2回繰り返し行う。2段階は、「事業化・施策化」(講義1、演習1)で、副読本の事例を活用し、プロセス毎に事業化がうまくいったと考える場面と理由、保健師の役割を読み取る。授業方法は、演習過程での学生間の発表や学生自らが作成した演習結果と事例執筆者(テキスト)の考えを突合させるなど、学生の主体性を促すことで、保健師活動への関心を高め、地域診断から施策化へのプロセスの理解を深めるよう工夫した。 実習指導案は、研究結果から、実習指導者は自らの事業に対して振り返りが不十分なために、学生への指導に不安や戸惑いがあることを踏まえて、保健師が実施した事業・施策化を説明するための実習指導案にも換えられるフォーマットを作成した。すでに村山・研究者自身らが作成した事業化の8つのプロセスを活用し、新たに①事業概要②事業化のプロセス毎に「活動のポイント」「促進させた要因」「阻害となった要因」「改善すべき点」を様式化し、記述内容例も提示した。実際に保健師2名が自ら関わった事業を、この様式を用いて保健師研修で発表したところ、プロセスと着眼点がわかるという意見が多く得られたことから、学生に対する施策化に関する実習指導にも有効であると考える。
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