本研究は、保健師基礎教育の質を担保するために効果的な保健師実習のあり方を検討する一環として、保健師実習指導者の役割遂行状況を定量的に評価できる尺度を開発すること及び実習指導者の支援プログラムを開発することを目的としている。本研究の初年度である今年度は、尺度案の作成に向けて、以下のことを実施した。 1)(1)学生が知覚する効果的な実習指導者のかかわりの明確化と(2)実習指導者の役割の概念化を行った。(1)については、看護系大学の学生計179名を対象にした質問紙調査から明らかにした。また、(2)については、国内外の文献レビューにより、実習指導者の役割を収集した。また、国の実習指導者講習会を修了した実習指導者3名に対し半構成的インタビュー調査を実施し、実際に行っている支援内容および役割意識を質的に明らかにした。さらに、(1)及び(2)を統合し、実習指導者の役割の概念を抽出した。 2)質問項目の作成とレイアウトを行った後、専門家とパイロットスタディによる尺度の修正を行った。尺度の内容的妥当性を検討するため、看護系大学の地域看護教員(尺度開発の経験をもつ研究者を含む)、経験豊富な実習指導者間で、尺度案の各質問項目の妥当性、表現の明確性、現実適合性の検討を行い、尺度案を修正した。さらに、試案を用いて、内容的妥当性及び表面妥当性を検討するために、現場の保健師約20名を対象にパイロット調査を実施した。回答の偏り(識別力)、表現の明確性などにより再度修正を行い、最終的な尺度案を作成した。 今年度の成果については、今後国内外の学会(平成23年5月、7月等)で順次発表予定である。
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